山田2.0 第三話
○山田家・健太郎の部屋・前(夜)
昌子が健太郎の部屋の前に来る。
健太郎の部屋から声がする。
健太郎の声「知らないよ!!」
もう一人の声「なんだよ!!」
昌子が部屋の扉を開ける。
○同・同・中(夜)
昌子「いったいどうしたの?」
健太郎の顔をした人が二人いる。
昌子「健太郎!!あなた双子とはいえ、お兄ちゃんなんだからしっかりしなさいよ!!」
健太郎「だって健次郎が…」
健次郎「いいじゃんかよ!報告だって忘れる時くらいあるじゃんかよ!!」
昌子「健次郎!!あんた!報告忘れたの?」
健次郎「…ちょっとだけだよ」
昌子「誰かに怪しまれなかった?いい?あなたは…」
健次郎「わかってるよ!!もう何回も聞いてるから!!俺は2年前に死んだことになってるんでしょ!!」
健太郎「わかってるなら、よろしい(笑)」
昌子「健太郎と健次郎はお互いやった事をちゃんと共有できるようにならなくっちゃ、ダメだよ…。もしこの事が誰かにばれたらエライ事になることと予想される…」
健次郎「何だよ!!いいじゃんかよ!!俺が死んだおかげで借金も無くなったんだから!!」
昌子「健次郎には感謝してもしきれないわ」
健太郎「本当だよ!!健次郎がいなかったら山田家は良くて夜逃げ。最悪、一家心中って所だったんだから…」
昌子と健太郎が健次郎の両肩に寄りかかっている。
健次郎「なんか全然、感謝の気持ちが伝わらないんだけど…」
健太郎「気のせいじゃないのか?」
昌子「気のせいよ」
真一「気のせいだろ」
いつのまにか父親の真一(52)が健太郎の部屋に入ってきている。
健次郎「何か俺を信じ込ませようとしてない。ってか俺だまされてないよね?っていうか父さんいつの間にいるんだよ」
真一「まあそう考えすぎるなよ。健太郎!」
真一が健次郎の肩に手を置く。
健次郎「健次郎だよ!!」
○山田家・外(健次郎の回想)
やくざ風の男が玄関の扉をノックしている。
男「おるんやろ!!借りた金は返さなあかんやろーが!!おう!!」
健次郎の声「親父は昔っからお人好しだったから、誰かよく知りもしない人の保証人になって…そいつが飛んだ」
○同・中(健次郎の回想)
山田家の人々が部屋中の電気を消して真っ暗な中、借金取りにおびえている。
健次郎の声「一家心中って事も考えたけど…出来なかった…」
○病室(健次郎の回想)
健次郎が体に機械をいっぱいつけられて病室で寝ている。
健次郎の周りに山田家が集合している。
医者が健次郎の首筋に手をやり首を左右に振る。
健次郎の顔に白い布がかけられる。
健次郎の声「俺はなってもいない病気で死んだことになった」
○山田家・中(健次郎の回想)
健次郎の葬式が開かれている。
× × ×
隣の部屋で健次郎がご飯を食べている。
○同・外(健次郎の回想)
保険会社の車が止まる。中から保険会社の人間が出てきて山田家に入っていく。
健次郎の声「俺にかけられた生命保険が無事におりた。借金も無事に返済できた」
○病院(健次郎の回想)
真一と昌子が医者に現金を渡している。
健次郎の声「口止めもばっちりだ」
○山田家・健太郎の部屋・中
健次郎「健次郎は死んで二人で健太郎を演じることにはなったけどな」
健次郎が振り返るとひとりぼっち。
○同・同・外
健太郎「あいつ、あの話、好きだよね」
昌子「本当よね。耳にたこが出来ちゃうわよ」
真一「あの話してる時、健次郎、顔が生き生きするよな」
健次郎が部屋から顔を出す。
健次郎「おい!!」
健太郎・昌子・真一「感謝しています!!」
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