山田2.0 第一話

○山田家・外
山田健次郎の葬式が行われている。

○同・中
健次郎が笑っている遺影が飾られている。
健次郎そっくりの健太郎(14)が唇を噛みしめて遺影を眺めている。
健次郎・健太郎の同級生のすすり泣く声があちこちから響く。

× × ×

タイトル「2年後」
健太郎(16)がベッドから飛び起きる。
健太郎「やっばー!もうこんな時間じゃん!!何で起こしてくれないんだよ!!」
母親の昌子(49)が部屋の外から顔を出す。
昌子「今日、あなた学校だったっけ?」
健太郎「そうだよ!!今日、月曜日じゃん!!」
昌子「あら?だってあなた先週の月曜日、休んでたじゃない?」
健太郎「先週の月曜日は祝日だったの!!今日は平日だから学校があるの!!」
昌子「あら?そうなの?それは急がないとね」
健太郎「じゃあ、行ってくるよ」
昌子「朝ご飯くらい食べて行きなさ…」
健太郎の姿は無い。
昌子「あら。節操の無い子ね」

○道(朝)
健太郎が走る。

○学校・校門(朝)
生活指導の橋本が校門の前に立って腕時計を眺めている。
橋本「5秒前」
健太郎が走ってくる。
健太郎「まっまままっまっったたぁぁぁ!!」
橋本「4」
健太郎「ちょっちょ…」
橋本「3」
橋本が校門に手をかけて門を閉めようとする。
健太郎「うぉぉぉぉおぉ!!」
橋本「2」
橋本が校門を半分閉める。
健太郎「ずりゃああ!!」
健太郎が校門にヘッドスライディングする。
橋本「1」
健太郎「よっしゃぁ」
橋本「ゼロ」
橋本が校門をガシャリと閉める。
健太郎「あっ!!」
健太郎の鞄が校門の外に落ちている。
橋本「(にやりと笑って)ゼロ」
健太郎「そんなぁ、先生。体が間に合ってればセーフでしょ?」
橋本「アウト!!」
健太郎「マジですか?」
橋本「マジ!!」

× × ×
健太郎が鞄を持って校舎に入っていく。
健太郎「(振り返り)先生!!」
橋本「えっ!?」
健太郎「俺、遅刻何回目っすか?」
橋本「今月に入ってもう5回目だ」
健太郎「マジっすか!?」

○同・教室(朝)
健太郎が静かに教室に入る。
教室はガヤついている。
ユースケが健太郎の袖を引っ張る。
ユースケ「おい!ケン!!また遅刻かよ(笑)」
健太郎「ってかお前らが早く来すぎてるんだよ。なんだよ8時半って!!」
ユースケ「ケン!!ちょっと待てって!!」
健太郎「何だよ!!ユースケ!!席に座らせてくれよ!!走ってきたから疲れてるんだよ!!」
ユースケ「お前の席は、ねーよ」
健太郎「何言ってるんだよ?」
健太郎が自分の席を見ると知らない女の子が座っている。
健太郎「何で俺の席に人が座ってるんだよ!!」
担任の川崎が健太郎に気がつく。
川崎「ケン!!お前また遅刻か!?」
健太郎「いくら遅刻が多いからって人の席を無くすって?先生、これPTAに訴えたら一大スキャンダルですよ?」
川崎「突然だけど転校生が来たから。とりあえずケンの席に座ってもらったから」
健太郎「突然すぎますよ!!ってか先生!!俺の話ちゃんと聞いてましたか?」
川崎「なんか文句あるのか?」
健太郎「文句あるに決まってるじゃないですか?俺がここの高校に入学してきてからここの席は山田健太郎の席って決まって…」
転校生の里子が振り返る。
里子「ごめんなさい」
里子の振り返りが健太郎にはスローモーションに見える。
健太郎「…文句ないです。俺の席はどこでもいいです!!」
ユースケ「ケン!!わかりやすすぎ!!」
健太郎「何だよ!!」
健太郎の目が【惚】の字になっている。


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