24

○公園・広場
都内にしては大規模な公園。
前田と川口と君島が公園で撮影をしている。
前田がカメラの脇から顔を出す。
前田「おーい。次はどこ撮れば
いいんだっけか?」
カメラの後方にいた川口が
照明の機械を切って
ズボンの後ろポケットから台本を取り出して。
川口「はい。次はあっちの池で撮影です」
川口が池を指さす。
白鳥型のボートや
手こぎ式のボートが泳ぐ池。
前田「よし!いくぞ!
あ!そこでは音、撮るの?」
川口が台本をじっくりと見つめて。
川口「んー?いらないみたいですね(笑)」
前田「あっそうなの。
どうする?君島さん?」
君島がヘッドホンをはずして。
君島「自分は残りますよ。
音、チェックしたいんで
それに…」
君島が遠くの池を見つめる。
川口「遠いいですもんね(笑)」
君島「…(笑)」
前田「行くぞ」
川口「はい(笑)」
前田と川口が池の方へ機材を抱えて
歩いていく。
川口が途中で立ち止まって
君島の方に振り返って。
川口「気をつけてくださいね」
君島「ん!?」
君島が顔を上げると
前田と川口の姿は無い。
君島が首をひねってヘッドホンを耳に当てて
音のチェックを始める。

○公園・池・ほとり
カップルが手こぎボートに笑顔で乗っている。
前田がカメラを担いで池を撮っている。
川口が前田の脇で台本を見つめている。
前田「清。悪いなこんな撮影に付き合わせて。
技術だけで撮影なんてよ」
川口「大丈夫ですよ(笑)
制作さんがいない撮影なんて
なかなか経験出来るもんじゃ無いですから(笑)」
前田「そうか…まあ勉強にはなるかもな(笑)」
川口「…」
前田「…」
川口「…前田さん!」
前田「ん!?」
川口「…佐々木さんと山本さんの
事なんですけど…」
前田がカメラのファインダーから
目を離して。
前田「何だ?清、お前気にしてんのか?」
川口が首を横にブンブンと振り。
川口「そんなこと無いですけど…
何か不気味じゃ無いですか…」
前田「不気味ね…」
前田がほくそ笑む。
川口「前田さんは気にならないんですか?」
前田「そんなこといちいち気にしてたら
こんな世界にいれないよ(笑)」
川口「そうっすね(笑)
この世界じゃよくある事ですもんね(笑)」
前田が川口の顔を睨み付け。
前田「よくある訳無いだろ!」
川口が驚いた顔をする。
前田「いやっ…ごめん」
前田が再びカメラのファインダーを覗き込む。
川口「すいません」
川口が頭を下げる。
川口「でも…でも…
自分…
そうでも思わないと…」
川口が唇をかみしめる。
川口「自分…
前田さんみたく強く無いっすから!」
前田「もうやめろ!やめろ!」
川口がカッと目を見開く。
前田「今は仕事に集中しろ!
俺らはプロだろ!」
前田がカメラのファインダーから
目を離して胸ポケットから
煙草を取り出して口にくわえる。
川口「前田さん?」
川口が自分の口元を指さす。
前田「ん!?」
前田が自分の口元を見つめる。
煙草を逆さまにくわえている。
前田が慌てて元に戻す。

次へ

戻る

表紙