昔の記憶 第七話


○山道
ハイエースが走る。

○ホテル・前
ハイエースから大輔・和子・愛・実・清と降りる。
最新式のホテルが広がってる。
和子「わー凄い、いい所じゃないの」
愛「本当ね。きれいなところね」
大輔「腹減ったぁ。何か食おうぜ」
清「着いて早々か。少しは景色を楽しもうよ」
大輔「実もお腹すいただろ?」
みんなが実の反応を見る。
実「…うん、少し」
大輔「よし!決まり!行こう」

○同・レストラン
ビュッフェスタイルのレストラン。
実たちが席に座っている。
大輔「実は何か食べたいものあるか?」
実「え?何でもいいよ」
大輔「そっか、じゃあ適当に取ってくるよ」
愛「あれ?父さんは?」
大輔「また、たばこでも吸いに行ってるんじゃないか?」
愛「また…」
大輔が料理を取りに行く。
愛「ちょっと、私も行くよ(料理を取りに行く)母さん、よろしくね」
和子「行ってらっしゃい」
席には和子と実だけ。
和子がモジモジしている。
実「母さんどうしたの?」
和子「…何でも無いよ」
実「そう…」
和子「ごめん。実、ちょっとトイレ行ってきていいかね?」
実「いいよ。行ってきなよ」
和子「すぐ戻るからね(和子が席を離れる)」
実「ごゆっくり」
実の背後から声が聞こえる。
おばあちゃんの声「旦那様!」
実が振り返る。優しそうな顔をした山本(65)が立っている。
山本「ああ。やっぱり旦那様だ。どうされていたんですか。ああ。もう山本は旦那様にお会いできないかと思っていました。ああ」
山本が実の体にべたべたと触れる。
実「ちょ、ちょっと(手を払いのける)人違いじゃ無いですか?」
山本「旦那様を見間違えるものですか。お元気でいらしたんですか?」
実「ちょっと、本当に私と知り合いなんですか?何か私の事ご存じなんですか?」
山本「旦那様の事なら何でも知っておりますとも…。ああ、旦那様(実の格好を見つめて)どうされたんですか?こんな格好されて?」
実「こんな格好って…」
山本「もしかして何も覚えてらっしゃらないんですか?私の事も…あの事件の事も?」
実「あの事件?」
愛の声「ちょっとお兄ちゃん!」
愛が実の元に駆け寄ってくる。
実「愛…」
山本「こちらの方はどなたかしら?お兄ちゃん…?」
実「そんな、さっき私の事なら何でも知ってるって…」
山本が不思議な顔をする。
和子が帰ってくる。
和子「ごめんなさい。急にお腹が痛くなっちゃって…あらどうしたの?」
愛が実の手を引っ張って早歩きで移動する。
愛「行きましょ」
実「ちょっと…」
山本「旦那様!」
実「さっきのおばちゃんは誰なんだ?」
愛「あのおばちゃんに何か言われたの?」
実「俺の事なら何でも知ってるって…」
愛「この季節はああいう人が出てくるのよ。気にしないで」

○ハイエース・中(夜)
大輔がハイエースを運転する。助手席に清。助手席の後ろの席に和子。その隣に愛。一番奥に実が乗っている。大輔と実以外は皆寝ている。
実の心の声「結局あの後、すぐに帰ることになった」


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