昔の記憶 第六話
○鈴木家・外(朝)
家の前にワンボックスカーのハイエースが止まっている。運転席に大輔が座っている。
大輔「早くしろよー」
○ハイエース・中(朝)
実が運転席の後ろに座って外を見ている。
助手席に清が、実の隣に愛、その隣に和子が座っている。実が後ろを見ると荷物が沢山積まれている。扉を探すが実側には扉が付いていない。
○同・外(朝)
ハイエースが出発する。
○同・中(朝)
実が鈴木家を見つめる。鈴木家は外見も洋風の作りになっている。
○山道(朝)
ハイエースが山道を走る。辺りには住宅は見あたらない。
○ハイエース・中(朝)
実が外の風景を見つめる。
愛「何か思い出した?」
実「…」
○市街地(朝)
ハイエースが市街地に入ってくる。お店や住居がぼつぼつ出てくる。
○ハイエース・中(朝)
和子「いつもこの辺りで買い物してるのよ」
実「そうなんだ…」
大輔「…ごめん、ちょっとトイレ行ってきていい?」
愛「ちょっと、出かける前に行ってきてよ」
大輔「行ったよ!急に来たんだからしょうがないじゃん!」
愛「その辺でしてきなよ。ほら、あの空き地とか」
大輔「いやっ、あそこじゃ…」
清「大きい方か?」
大輔「うん。大きい方」
和子「あそこのスーパーは?」
スーパーが目の前に見える。
○スーパー駐車場(朝)
ハイエースが急停車して大輔がハイエースから降りてスーパーの中に走る。
○ハイエース・中(朝)
愛「父さんが運転代わりなよ」
清「そうだな」
清がハイエースをいったん降りて運転席に座る。
実「あのでっかい建物なに?」
和子「だからスーパーだって(笑)」
実「違うよ。その隣の建物」
和子「えーと、あれなんだっけ?」
愛「何だっけ?…何か書いてあるよ」
清「と…図書館だよ」
和子「ああ、そうそう、図書館だよ。図書館。昔、よく連れて行ったじゃない」
実「ごめん。覚えてないんだ…」
和子「そうよね。ごめんね。愛もよく連れて行ったじゃない。何で忘れちゃったの?」
愛「…私じゃ無くって、大輔兄ちゃんじゃない?」
清「そうだよ。確か、大輔をよく連れて行ったよ」
大輔が運転席のドアを開ける。
大輔「お待たせ。あれ?何で父さんいるの?」
愛「もう、交代よ。交代」
大輔「そうなの。まあいいや」
大輔が助手席に乗る。
実「ねえ。兄さん。あの建物って何?」
大輔「知らないよ。そんなことより…」
愛「(遮って)図書館でしょ!」
大輔「そうそう。図書館。図書館だよ」