昔の記憶 第五話


○鈴木家・二階廊下
実が和子の部屋の扉をノックする。

○同・和子の部屋
和子がベッドに腰掛けて資料を読んでいる。
実「入るよ」
実が部屋に入ってくる。和子が慌てて資料をベッドの下に隠す。
和子「ど、どうしたの?今、お昼寝したって聞いたけど…」
実「何か目が覚めちゃって」
実が壁に掛かっている日本画に近づく。日本画には【経厳】とサインがある。
実「(小声で)これも同じだ…」
実が振り返る。
実「ねえ母さん」
和子「な、何?」
扉を開けて大輔が入ってくる。
大輔「おお、実。目が覚めたのか?」
実「兄さん。何でここに?」
大輔「そりゃ、実の声が聞こえたから」
実「…まあいいや。これ(日本画を手に取る)この絵ってみんな同じ作家のだよね。何でなの?」
大輔「なんでなの?って(和子を見て)何でだっけ?」
和子「それはみんな、その経厳さんのおかげで生活できてるんじゃない」
愛がいつの間にか部屋にいる。
愛「あーつまり母さんが言いたいのは(実から絵を取って眺める)見て」
みんなが絵を眺める。
愛「どう?何か生きる気力が出てこない?」
大輔「出てくる、出てくる」
和子「そうよね。この絵が無かったら生きていけないわよ」
実「…そうなんだ。でも、確かにいい絵だけどなんかこの家には合わないんじゃない?」
洋風の部屋。
清が部屋に入ってくる。
清「どうしたんだ?みんなそろって?実、昼寝してたんじゃなかったのか?」
実「何か目が覚めちゃって…そんなことより、みんな俺に何か隠してないか?何かおかしいよ。何かがおかしいよ」
清「…実、ちょっと疲れてるんじゃないか?どうだ、実も元気になったことだし、気分転換に旅行でも行くか?」
大輔「いいね。それ良いね」
和子「そうね。ちょっとゆっくりするのもいいかもね」
清と和子と大輔が愛を見つめる。
愛「いいんじゃない。気分転換も大切なことだからね」


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