幸福論 第十五話

○渋谷・スクランブル交差点(夜)
信号が青に変わってたくさんの人々が交差点を行き来する。
サンキューが信号機に寄りかかって手に持った写真と町を行き交う人々を交互に見る。
サンキューが一人の男の姿を見つけて後にゆっくりとついていく。

○マンションの一室(夜)
サンキューが氷を入れたブランデーグラスにブランデーを注ぎ込む。
氷の乾いた音が部屋の中に響く。
サンキューがブランデーグラスを目の前に座っている井上に差し出す。
井上「お!サンキュー(笑)」
井上がブランデーをグイッと飲む。
井上「プハー。どうした?珍しいじゃんお前から誘うなんて?(笑)」
サンキュー「…」
井上「まさかもうこの仕事辞めたいとか言うんじゃないだろうな(笑)」
サンキュー「…」
井上「そうだよな(笑)ごめんごめん(笑)
先祖代々殺し屋の家系だもんな(笑)」
井上が立ち上がってサンキューの肩をポンポンと叩いて。
井上「怒るなよ(笑)冗談だって(笑)
お前は死ぬまで殺し屋だよ(笑)」
サンキュー「…今の仕事が終わったら引退しようと思ってる…」
井上「!?」
サンキュー「…悪い…もう決めたんだ」
井上「そしたら俺はどうなっちゃうんだ…」
サンキュー「…悪い」
井上「…」
サンキュー「…」
井上がニヤリと笑って。
井上「だからか(笑)」
サンキュー「え?」
井上「それ(笑)」
井上がサンキューの腕を指さす。
井上「そんな事してまでやってるのか(笑)」
サンキューがシャツをめくる。
シャツから傷跡が見える。
サンキュー「そういうことだ…
最高の仕事をしてやりたいからな…」
井上がフーとため息をついて。
井上「…わかったよ!わかったよ(笑)
お前にはずいぶん稼がせてもらったかな(笑)
ところで一つ聞かせて欲しいんだが
いつ頃から辞めること考えてたんだ?(笑)」
サンキュー「…一年前ごろから」
井上「何で?」
サンキュー「何となくだ」
井上「どおりで最近受ける仕事が少なくなってきたと思ったよ(笑)」
サンキュー「…すまん」
井上「なんだよ(笑)その時に言ってくれれば良かったのに(笑)
水臭せぇな(笑)」
サンキュー「すまん」
井上が笑顔でサンキューの肩をポンポンと叩いて。
井上「気にすんなって(笑)そしたら最高の仕事しないとな(笑)」
サンキュー「ああ、そのつもりだ」
井上「で、どうするつもりなの?」
サンキュー「ん?」
井上「引退した後(笑)」
サンキューが写真立てを見つめながら。
サンキュー「…息子を捜しに行こうと思う」
井上が写真立てを見つめて。
井上「探しに行くって…?」
サンキュー「最後に会ったのは25年前だ…」
井上「そうか…」
井上がサンキューの顔を見つめて。
井上「最高の仕事しようぜ(笑)」
サンキュー「…大丈夫だ。俺はプロだ。依頼された仕事は100パーセントこなす」
井上「そうだよな(笑)
依頼人は邪魔なやつが居なくなって残りの人生ハッピー(笑)
お前は最高の報酬と最高の仕事が出来てハッピー(笑)
俺も最高の報酬がもらえてハッピー(笑)
ターゲットも最高の幸せと死が与えられてハッピー(笑)
みんながハッピーになる仕事で終わらせようぜ(笑)」
サンキューがニヤリと笑って。
サンキュー「そうだな(笑)」
サンキューがブランデーをグイッと飲む。


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