不老不死 第四話


○研究所・研究室(夜)
研究室の電気が消えて暗くなっている。
一郎が研究室に入ってくる。
一郎「博士?いらっしゃいますか?」
一郎が研究室の電気をつける。
一郎「二郎と、三郎が動き出しましたよ。博士?」
博士の姿は見あたらない。
一郎「はかせー?博士どこにいらっしゃいますか?」
机の脇に電動車椅子が倒れている。一郎が駆け寄る。
一郎「!!」
博士がうつぶせに倒れている。一郎が博士に駆け寄る。
一郎「博士!!」
一郎が博士の胸に耳を当てる。
一郎「は、博士!!」
一郎が博士に人工呼吸と心臓マッサージをする。博士は動かない。
一郎「博士…」
博士が手紙を握っている。一郎が手紙に気がついて、手紙を広げる。
一郎の心の声「愛する一郎へ。一郎には厳しいことばっかり言ってきたな。ごめんな…」
博士の声「この手紙はいわゆる遺書と言うものだ。心して読んでくれ。一郎、お前を厳しく育ててきたのには訳がある。一郎には二郎と三郎の教育係になって欲しい。二郎と三郎はこの世界のことを何も知らないで生まれてきた。本当は私が直接、二郎と三郎を教育すれば良いのだがな。私にはそこまでの時間が残されていないんだ。でも、心配することはない。後ろのロッカーの中を見てみろ」
一郎がロッカーを開ける。ロッカーの中からDVテープ2個とビデオカメラとイヤホンが出てくる。DVテープには数字が振ってある。一郎が手紙の続きを見る。
博士の声「ロッカーの中に3本のDVテープが入っている。数字を1から3まで振っておいた」
一郎がロッカーの中を探す。テープは2本しか無い。一郎が手紙を見る。
博士の声「困ったことがあったら数字の順番にテープを見なさい。それでは元気でな。博士より。追伸 私の存在は二郎と三郎には知らさないでくれ。彼らが混乱してしまうからね。彼らにとっての親は一郎。君だ。私の亡骸は後ろにあるロッカーに入れておいてくれ」
一郎が、博士の遺体をロッカーに隠して奥の部屋に向かう。
一郎「お待たせしました!」

○同・奥の部屋(夜)
二郎と三郎がわくわくした様子で一郎を眺めている。
二郎「で?俺らはこれから、どうすればいいの?」
三郎「なんか僕らが生まれた理由とかあるんでしょ?」
一郎「そ、それは…」
二郎「悪の組織をやっつけるとか?」
三郎「それ、かっこいいね」
二郎「いいよな!」
三郎「ちなみに一郎は何の為に生まれたの?」
一郎「ちょっと待ってて下さい!!すぐ戻ってきますのでおとなしく待ってて下さい(部屋を出て行く)」
二郎「ちょっと、どこ行くの?」

○同・研究室(夜)
一郎が研究室の隅でビデオカメラに【1】と書かれたDVテープを入れてイヤホンをして、ファインダーを覗く。

○ビデオ
画面に【困ったとき その1】とテロップが入り軽快な音楽が流れる。博士が画面に向かって会釈をする。
博士「こんばんわ」

○研究所・研究室(夜)
一郎がファインダーを覗きながら会釈する。

○ビデオ
博士「【困ったとき その1】として、今回はまず(ゴホゴホ)おそらく、最初に疑問に思うであろう(ゴホゴホ)二郎と三郎を作った理由を話そう。まず、私は長年(ゴホゴホ)【不老不死】と言うものを研究してきた」
【不老不死】というテロップが画面に出る。
博士「しかし(ゴホゴホ)研究を重ねていくうちに人間の組織はどうやっても劣化、いや老化していくという問題点が浮上した(ゴホゴホ)そこで、研究を重ねて、なんとか劣化をしない物質の作成に成功した(ゴホゴホ)しかし、それはすぐには人間には使用が出来ないものだった(ゴホゴホ)何とか人間に使用しようと試行錯誤したがうまくいかなかった。そこで(ゴホゴホ)ロボットに使用することにした。それを最初に使用したのが(ゴホゴホ)一郎だ。人間の再生能力を兼ね備えた究極の不老不死のロボット!それが一郎だ!人間の細胞を含んだ一郎は自然治癒能力によってメンテナンスが、いらなくなった(ゴホゴホ)人間は小さな傷ならすぐに治る」
博士が腕に貼ってある絆創膏をはがす。きれいな肌が見える。

○研究所・研究室(夜)
一郎がシャツをめくりあげる。腹の傷は完全に治っている。

○ビデオ
博士「一郎達なら大きな傷でも治る(ゴホゴホ)ただし、今の話は、あくまで計算上の事だ。計算上はどんな傷も完全に治って(ゴホゴホ)どんな部品も決して摩耗する事無く、永久的に使えるはず。どんなショックを受けたとしても、計算上はな(ゴホゴホ)でも、どんなことでも、そうだが実際に試していかないといけない。実際にな…そうだ!(ゴホゴホ)それがお前たちの生まれてきた理由だ。様々な衝撃に!様々な圧力に!様々な環境下に!実際に挑んで欲しい!(ゴホゴホ)同じ条件下でも一回のデーターでは不十分だ。最低三回はデーターを取っていかないと。お前達は三人いるから、三人で同じ衝撃にチャレンジしてくれ。データーは研究室、後ろのマザーパソコンに保存されていく」

○研究所・研究室(夜)
壁紙の端が剥がれかかっている。一郎が壁に近づき、壁紙を剥がしていく。
壁一面に大きなパソコンがあり、作動音を鳴らしている。

○ビデオ
博士「それじゃあ頼んだぞ。いっぱい暴れ回ってくれ(ゴホゴホ)あ、そうそう、二郎と三郎にはデーターを取っているって言う事は秘密にしておいてくれよ。そうしないと(ゴホゴホ)正確なデータを取るのが難しくなってしまうからな(ゴホゴホ)」
博士が画面に向かって礼をする。画面下に【終】とテロップが出る。



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