不老不死 第一話


○道(夜)
前が見えないほどの雨が降っている。
街灯は見あたらない。
一台の乗用車が走っている。

○乗用車・中(夜)
中村武雄(32)が携帯電話で電話をしながら、車を運転している。
ワイパーの意味がないほど雨が激しく降る。
中村「ああ。すぐ帰るよ。ん?もうすぐ着くよ。…え?何言ってるんだよ。迷ってなんか無いよ。ああ、じゃあな」
中村が電話を切る。
カーナビは道では無いところを案内している。
カーナビ「実際の交通規制に従って走行してください」
中村「じゃあ、ちゃんと案内しろよ!」
中村がカーナビを殴る。

○道(夜)
乗用車が道ばたにある案内標識を通り過ぎる。

○乗用車・中(夜)
中村が後ろを振り返る。
中村「あっ!!今、案内板が…」

○道(夜)
乗用車の前に、コンビニの袋を持った見た目が二十歳代の一郎(5)が飛び出してくる。

○乗用車・中(夜)
中村がびっくりしてブレーキを踏み込む。

○道(夜)
一郎と乗用車が正面衝突する。乗用車と一郎が衝撃で吹き飛ぶ。

○乗用車・中(夜)
中村がゆっくりと顔を上げると額から流血している。
中村「痛たた…」

○道(夜)
乗用車のボンネットが壊れている。乗用車の中から中村が懐中電灯を持って出てくる。中村が懐中電灯で一郎を照らす。一郎はコンビニの袋を手に持ったまま、仰向けに倒れて、ピクリとも動かない。シャツがめくれて腹に大きな傷が出来ている。
中村が懐中電灯をボンネットに向ける。
中村「派手に、やっちゃったなぁ。(一郎の方を見て)おい!大丈夫か!?」
一郎は動かない。
中村「大丈夫な訳、無いよな…」
中村が一郎に近づく。
中村「やばいなぁ。えらいこっちゃぁ…」
一郎がすくっと起きあがる。
中村「!?」
一郎が中村の顔を見る。
一郎「はっ!!」
一郎が、周りに散らばった、おにぎりをコンビニの袋に戻して、中村の元まで走ってくる。
一郎「このことは秘密にしておいて下さい。よろしくお願いします」
一郎が中村におにぎりを一つ渡して走り去る。
中村「あっ。いやっ…」
中村が雨に打たれながら一郎の後ろ姿と壊れた車のボンネットを見比べる。



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