「1・2の3」NEWver第六話
○道(朝)
一郎がメモ用紙を持って歩く。
一郎「シュークリーム。シュークリーム…」
律子が一郎の目の前からスーツを着て歩いている。
律子「(一郎に気がつき)一郎君!何でこんな所に?…は!!」
○ゲームセンター・外(フラッシュ)
井上「もうほっといてくれ」
○道(朝)
律子が一郎から姿を隠そうとする。
一郎が律子に気がつく。
○オフィス・会議室(フラッシュ)
面接を受けている律子。
○映画館(フラッシュ)
一郎の隣で律子が映画を見ている。
○道(朝)
一郎が律子に笑顔で近づく。
一郎「律子ちゃーん」
律子「ひ、人違いじゃないの?」
一郎「こんなところで何してるの?」
律子「か、会社よ、会社。これから出勤なの」
一郎「なんでこんな所にいるの?」
律子「家が近くにあるのよ。い、一郎君こそ何でこんな所にいるの?」
一郎が不思議そうな顔をする。
律子「!?あ!ごめん!一郎君って一回言っただけじゃわからないんだっけ?」
○診察室(フラッシュ)
医者「物事を理解するのに最低三回は同じ事を繰り返し聞かないと記憶として定着しないようです」
一郎(7)が医者の顔を見つめる。
○田中家・リビング(フラッシュ)
井上「人が言ったこと一回じゃわからないんじゃないのか?」
一郎(10)が井上(10)を見つめる。
○道(朝)
一郎がショックを受けた顔をする。
一郎「(走り出す)うそだ!!うそだぁ!!」
律子「ちょっと一郎君!!どこ行くの!?」
○田中家・リビング(朝)
一郎「(走って来て)お父さーん!」
井上「一郎!どこ行ってたんだよ。探したんだぞ」
一郎が辺りを見回す。和夫の姿は無い。一郎がリビングから出て行く。
井上「おい!どこいくんだよ」
○同・外(朝)
一郎が外へ出るとちょうど和夫の乗った車が出発する。一郎が自転車に飛び乗って、和夫の車を追いかける。
○同・中(朝)
井上「大変だ(携帯をかける)出てくれー。お父さん早く出てくれー」
井上が振り返ると、和夫の携帯がリビングの机の上でバイブ音を響かせている。
井上「マジかよ(携帯を切る)」
○墓場(朝)
和夫がお線香をお墓に供える。
和夫「元気にしていたか?…今日でもう22年か…お前が死んで…(シュークリームをお墓に供える)宏美の好きなシュークリーム買ってきたぞ(笑顔でお墓を見上げる)」
お墓には『田中家の墓』と書かれている。
一郎の声「誰のお墓なの?」
和夫「い、一郎!?何でここに…」
お墓に『田中宏美』の文字。
○事故現場(回想)
乗用車とトラックが衝突している。パトカー・救急車が集まっている。和夫が担架で運ばれる。一郎が助手席の窓から外に出される。一郎が後頭部から血を流しながらびぇんびぇん泣いている。宏美が助手席でぐったりしている。
○墓場(朝)
一郎「そ、そんなぁ…(走り出す)」
和夫「一郎!待ちなさい!!(追いかける)」
○道(朝)
井上が走っている。律子が井上の前を通りかかる。
井上「あ!!えーっと確か律子ちゃんだっけ?一郎、見なかったか?」
律子「さっきここで、話してたけど急に走り出して…」
井上「なんの話してたの?」
律子「『三回聞かないと』って話をしたら…」
井上「ああー(頭を抱える)じゃあ、一郎どっち行った?」
律子「あ、あっちの方」
井上「ありがとう(走りだす)」
律子「ちょっと、待ちなさいよ。なんなのよ」
井上「あいつ病気の事、知らなかったんだよ。律子ちゃんが言ったことを聞いて理解したんだよ(走る)」
律子「そんな…」
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