「1・2の3」NEWver第二話

○診察室(回想)
タイトル「17年前」
和夫(30)と医者が対面で座っている。一郎(7)が診察室を走り回っている。
和夫「それで、診断の結果は…?」
医者「一郎君は…」
一郎「ひゃぁ(ベッドの上を飛び跳ねる)」
和夫「一郎!病院の中で暴れちゃダメ!」
医者「一郎君はあの事故で…」
一郎「うひゃひゃ(暴れる)」
和夫「一郎!病院の中で暴れちゃダメって!」
医者「(咳払いをして)あの事故で一郎君は記憶に…」
一郎「ひゃひゃひゃあ(暴れる)」
和夫「一郎!病院で暴れちゃダメって言ってるだろ!何回言えばわかるんだ!」
医者「三回です」
和夫「へ?」
和夫が振り返ると、一郎はおとなしく椅子に座っている。
医者「非常に珍しい症状なのですが、あの事故で一郎君は記憶に若干の障害を持ったらしく、物事を理解するのに最低三回は同じ事を繰り返し聞かないと記憶として定着しないようです。つまり、一郎君には同じ事を三回言ってあげてください。同じ事を三回経験させてください」
和夫「先生!全然意味がわからないんですけど。それはつまりどういう事なんですか?」
医者「…デジャブってご存じですか?」
和夫「何か聞いたことあります」
医者「『何かこれ、前どっかで聞いたことあるなぁ』あるいは『体験したなぁ』って言う状態です。」
和夫「それが…?」
医者「一郎君には一回目・二回目に見たこと、経験したことは全て普通の人で言うデジャブに近い状態なのです。三回目でやっと記憶として完全に定着する。三回目が無いと一回目も二回目も思い出せないんです」
和夫「治るんですか?それは?」
医者「なんとも…非常に珍しい症状ですので」
和夫「…」
医者「記憶が出来ないと言うわけではありませんので、一郎君には何事も根気よく接してください。(一郎を見る)」
一郎は優しく微笑んでいる。
医者「一郎君は非常に良い性格の持ち主ですので、明るく接してあげてください。そして決して不安にさせないようにしてあげてください」
和夫「わかりました。一郎の前では絶対落ち込んだ顔を見せないようにしますよ」
医者「…そうですね」
和夫「一郎に落ち込んだ父親の顔だけを記憶されてしまったら嫌ですからね(一郎の方を笑顔で見る)よし一郎!帰ったらいっぱい遊ぼうな」
一郎「…」
和夫「帰ったら遊ぼうな」
一郎「…」
和夫「帰ったらお父さんといっぱい遊ぼうな」
一郎「イエーイ(喜ぶ)」


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